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南洋アルミニウム鉱業関連資料

柴田 善雅
南洋アルミニウム鉱業関連資料
三井合名会社「鉱山会社議案」(傘下95~132)
南洋アルミニウム鉱業関連資料
昭和12年6月3日提出の鉱山議案(傘下121)

小生のように三井財閥そのものの研究ではなく外地企業研究に傾注している者にとっても三井文庫は資料の宝庫である。2014年11月に利用した際に南洋アルミニウム鉱業株式会社(1937年6月設立、本店パラオ)の関係資料に接することができた。同社に南洋拓殖株式会社(本店パラオ)が出資しているが南拓と並び三井鉱山が主要出資者となり経営を担当した。三井鉱山関係者による回顧録の存在も三井文庫で教示を得た。南洋アルミニウム鉱業の設立経緯と三井鉱山側が派遣した経営者を「南洋アルミニウム株式会社取締役並監査役推薦之件」(三井合名会社「鉱山会社議案」傘下121)で確認できた。1938年に南洋アルミニウム鉱業が増資すると東洋拓殖株式会社が一部株式を取得した。政府出資国策法人が有力株主として競合することになるが、東拓が株式譲渡を受け出資に割り込む経緯はかなり込み入っていた。その経緯を「南洋アルミニウム鉱業株式会社増資承認之件」(「鉱山会社議案」傘下124)、「南洋アルミニューム会社増資株式追加引受承認之件」(同右)及び同綴のほかの資料で解明できた。その事実関係を、三井文庫に持参した校正ゲラを開き、追加朱記した紙片を糊と鋏で貼り付けて補強した。資料発掘の目標を達成して満足して引き揚げる際に、三井文庫の資料でお世話になっている吉川容氏から、今回柴田が点検した三井鉱山の資料は「傘下」資料群であり、この月から一般公開したものであり、柴田がその最初の利用者であると伝えられ光栄に感じた。利用した「傘下」資料群目録のカバーも新しく、改めてそれを実感した。「傘下」資料群はまだ広く知られていないが、今後の多くの研究者のアクセスが期待できる。なお「傘下」の南洋アルミニウム鉱業関連資料は他の三井文庫蔵資料とともに小著『植民地事業持株会社論』に取り入れた。

(大東文化大学)

南洋アルミニウム鉱業関連資料
三井合名会社「鉱山会社議案」(傘下95~132)
南洋アルミニウム鉱業関連資料
昭和12年6月3日提出の鉱山議案(傘下121)